シニア健康情報

年のせいじゃない!変形性膝関節症



椅子から立ち上がろうとした時や、階段の昇り降りなどに「膝が痛い」と感じる事はありませんか?
膝が痛くなると、外出も思うようにできなくなるばかりか、日常生活にも支障をきたしてしまいます。
年齢が上がるほど発症率は上がりますが、近年では40代から痛みを訴える人が増え、50歳以上では女性の発症率が男性の2倍近くにも跳ね上がります。
また、最近はコロナの影響で外出頻度が減り、身体活動量が減った生活様式に変わったことから、より若年層の膝痛発症が増加し、決して高齢者特有のものではない疾患となってきました。
今回は多様な年齢層に必要となりうる膝痛の原因と対処法をご紹介します。


|変形性膝関節症とは?



 
膝に限らず関節とは、ビルなどの建物のようにがっちりと固定されているわけではありません。
関節は「関節包」という袋に包まれています。内側には「滑膜」があり、この滑膜から液体(滑液)が関節内に流れ込みます。
この滑液は骨の先端部分にある軟骨組織から吸収され、何らかの理由で吸収が悪くなると関節内に溜まってしまいます。これが俗にいう‘膝に水が溜まる’という症状です。
 
この液体の中に骨があるわけですから、関節は非常に不安定だと言えます。
しかも日本人は膝から下の骨(脛骨)が外側に彎曲している人が多いため、体重が内側に掛かりやすく、太ももの内側の筋力の衰えと共に、膝蓋骨(膝のお皿)が外側に引っ張られてしまいます。
これが「変形性膝関節症」です。

膝がひどく腫れている場合や急性の痛みの場合には、医療機関の診察を受けることや、安静にしておく必要がありますが、
急性ではない場合は少しずつ動かした方が改善に向かうことをご存知ですか?
日本臨床整形外科学会では、運動することによる血流改善の効果や、膝周辺組織への栄養供給、軟骨細胞の新陳代謝が良くなることによる繊維軟骨の再生化の可能性を訴えています。
やみくもにやれば良いわけではありませんが、安静にしていれば良いわけでもありません。


|膝痛の症状別対処法


では、どのように対処していけばよいのでしょうか?
症状別に見ていきましょう。




■膝痛初期


【症状】
「立ち上がりや動き出した時に痛い。(少し休めば痛みがとれる)」の場合

【対処法】運動療法や栄養の見直しを図る。
・椅子の背もたれ等を使い、痛みのでない範囲でゆっくりと膝の曲げ伸ばし。
・太り過ぎないように食事面も注意する。


■膝痛中期

【症状】
膝が痛くて歩いている時や、階段の昇り降りが辛い

【対処法】医療機関の指示の元、薬物療法・運動療法・装具療法などを組み合わせる。
・足首の柔軟性を向上させ、歩行時のスムーズな体重移動を身に付ける。
・ふくらはぎ、太もも前面、後面のストレッチ、椅子に座って足裏でテニスボールを転がす。

■膝痛末期

【症状】
膝が変形し、歩くことが困難

【対処法】
すぐに医療機関へ相談に行きましょう。中期と同様の対処法を用いる他、場合によっては手術療法を実施することもあります。


|膝の痛み対処法




膝の痛みを予防するためには、膝関節周辺の筋力強化や関節のスムーズな動きの回復が重要なポイントとなります。

■膝関節周辺の筋力を強化するためには
大腿四頭筋や中殿筋・内転筋のトレーニング
(例)スクワット、ヒップアブダクション、アダクション

■膝関節のスムーズな動きの回復のためには
滑液分泌を促す運動
(例)椅子に座って足裏でテニスボールを転がす

膝が痛くなると、外出が億劫になり、体力や筋力の低下を招いてしまいます。体力や筋力が低下すると関節に負担がかかり、より一層不活発になるといった負の連鎖に陥ります。医療機関での適切な指導を受けることが大前提ではありますが、関節機能を維持するためにストレッチやウォーキング、筋力トレーニングなど、ご自身の痛みの程度に合わせた運動を定期的に行うことが膝痛予防の鍵となります。

最近は少しずつ春めいてきており、桜の開花情報も気になるところではあります。今年は新型コロナウィルスの影響で、緊急事態宣言が解除になったからといって、例年のように大勢でのお花見は出来ないとは思いますが、お花見がてらにウォーキングをすることは、膝の機能を維持するきっかけになるだけでなく、気分転換にも効果的です。
まずは膝へ負担がかからないように注意をしながら、「いつもより少し長い時間を歩いてみる」ことや、「椅子から立ち上がる時に時間をかけてゆっくりと立ち上がってみる」など、できること・できそうなことからはじめ、膝痛の予防緩和に努めましょう。