シニア健康情報

今更聞けない「フレイル」って何!?



フレイルとは2014年に日本老年医学会が提唱した概念で、“加齢による予備能力低下のため、ストレスに対する回復力が低下した状態”の事を言います。今までは、高齢者の体力低下や、体調不良を「虚弱」「脆弱」等の言葉で表現していましたが、これらの日本語は「加齢に伴って老い衰えた状態と表現され、「歳のせい」と言われていました。
 ただ、効果的な方法によって元の健常な状態に戻れる事や、【身体的】【精神・心理的】【社会的】側面がある事が分かってきましたので、今までのような「虚弱」という表現は適切でないと判断されました。

引用:新井秀典『フレイルの意義』日老医誌2014:41:497-501




|フレイルの症状


■身体的要素
筋力や体力の低下により、今までのような行動が難しくなる。

■精神、心理的要素
身体的要素が原因で、新しい事に対する意欲の低下や、グループでの集まりに気後れしてしまう。

■社会的要素
家族に先立たれたことで一人暮らしになってしまったり、仕事関係のお付き合いしかない方が定年退職後、家族以外の知人と触れ合わなくなったり、高齢になって引っ越しをし、周りに知り合いがいなくて孤立してしまう。




この3要素の内、どれが先かは個人差がありますが、いずれにせよ、多くの高齢者は健康な状態から「フレイル」の状態を経て、要支援・要介護状態になります。



|フレイルの評価方法の定義




フレイルの状態にもかなりの幅があり、最近では【プレフレイル】という言葉も出ています。
このプレフレイルの時点で早めに対処すれば健康な状態に戻れる事も分かっています。なかなかご自身の変化に気づきにくいものですが、このフレイルに関する統一された評価基準はありません。
しかし、「表現型モデル」と「欠損累積モデル」が主な評価方法として用いられています。

引用:「荒井 秀典 (編集), 長寿医療研究開発費事業(27‐23):要介護高齢者、フレイル高齢者、認知症高齢者に対する栄養療法、運動療法、薬物療法に関するガイドライン作成に向けた調査研究班 (編集)『フレイル診療ガイド〈2018年版〉』株式会社ライフ・サイエンス」


 表現型モデルは、「加齢に伴う生体機能の低下により表出してくる症候を捉える」とする考え方であり、Friedらによって提唱されたCardiovascular Health Study基準(CHS基準)に代表されます。CHS基準では、➀体重減少、②倦怠感(疲れ易さ)、③活動性低下、④筋力低下、⑤歩行速度低下の5つの徴候のうち、3つ以上に該当する場合を「フレイル」、1~2つに該当する場合を「プレフレイル」と分類しました。わが国でも、この評価方法に基づいた日本版CHS基準(J-CHS基準)が提唱されています。

一方、欠損蓄積モデルは、「加齢に伴う障害や生活機能障害、疾患などの蓄積を評価する」との考え方であり、MitnitskiやRockwoodらによって提唱されたFrailty Indexに代表されます。症状、症候、ADL障害、疾患、認知機能障害など、一部の機能評価に偏らないように配慮しながら、加齢に伴う健康維持に関連する項目を30項目以上組み合わせ、Frailty Indexを算出します。

評価基準に該当すると思っても「歳だから」と諦めてしまうケースが多々あります。ご本人もそうですが、周りの人がこの変化に気づき、原因と対処法を一緒に考え、実行する事で元気を取り戻す事が可能になります。



|フレイル予防の3ポイント




 フレイルを予防する秘訣は、早くから運動習慣を付け、人々との交流が大切です。運動には、気持ちを前向きにする効果も期待出来ます。グループで運動を行うと自然に会話が生まれますし、そこで笑い声が出る事でセロトニンやオキシトシンと言った「幸せホルモン」と言われる物質が脳から分泌され、心のバランスを整える効果が期待できます。
 『運動』『食事』『交流』を心掛け、フレイルを予防しましょう。